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べき事柄は、変化の激しい社会を「生きる力」の育成であるということができる(中央教育審議会6))。学校教育においても、広く社会に開かれた学校としての認識のもとに、学校生活のスパンで完結する教育ではなく、より長い生涯教育的なスパンで児童・生徒の指導・支援にあたらなければならない。学校教育活動の一環としての運動部活動においても、中学校や高等学校という限られた時系列の中ばかりでなく、より広く生涯教育(生涯スポーツ)の視野からそのあり方を検討すべき時期にさしかかっていると考えることができる。
落合4)は、中学校・高等学校における運動部活動の経験のあり方が、将来にわたるスポーツ参加に大きな影響を与えるのではないかという視点から、中学校・高校の運動部員を対象として調査研究を行った。その結果、将来もスポーツを継続していこうとする傾向と関わりが深いことがらとして、次の5点が明らかになった。?@部活動場面における個人の自己に対する感じ方がポジティブであること(部活動への貢献度、プレー面での自信、実力発揮の程度)、?A部活動を巡っての対人的な関係が良好であること(対指導者、対メンバー、対家族など)、?Bスポーツそのものを楽しいと感じていること、?C部活動に対する感じ方や姿勢が積極的であること(自己実現の場、つらい・厳しいところなど)、?D現状より以上の向上や改善への期待と可能性をもっていることがそれである。
上記の結果は将来の行動に対する予測としてのスポーツ参加意欲を調査したものであり、その意味からはスポーツ参加をはじめとする実際的な行動が確かに行われるかどうかという保障はできない。そこで、本研究では、大学生を対象として、過去の運動部経験の有無や運動部活動のあり方を調査し、それが現在のスポーツ参加の有無や参加の形態にどのような影響を与えているかを明らかにしようとした。

 

研究方法

1. 調査期間
平成7年10月〜平成8年1月
2. 調査対象

 

表1 調査対象者の中学校・高等学校の運動部活動での種目の内訳。

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大学生:男子471名、女子226名、合計697名対象者の内訳は、関東地区の国立大学一般学生565名(男子384名、女子181名)、関東地区私立大学体育系学生79名(男子48名、女子31名)、九州地区私立大学体育系学生53名(男子39名、女子14名)であり、国立大学一般学生565名は1年次生と2年次生が中心であった。
これらの対象者のうち、中学校・高校で運動部に所属していた者が経験してきたスポーツ種目の内訳は[表1]のとおりであった。
3. 調査内容
現在のスポーツ参加状況と過去の運動部活動に関するアンケート調査
アンケート調査内容の概要は、[表2]のとおりである。

 

 

 

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